太陽の塔



太陽の塔

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。


 小説的なストーリー展開はあまり無くて、ひたすら主人公の妄念が語られています。筋が少ない分、筆者の体験の欠片という印象を持ちました。デビュー作だし。「夜は短し」>「四畳半」>「太陽の塔」と遡る順番で読んできたので、作品として再構成する前の生の体験に戻っていくように感じられたのかもしれません。だから、大好きな作家の源流を知るという意味で楽しめました。


森見 登美彦 (著)
文庫: 237ページ
出版社: 新潮社 (2006/05)
発売日: 2006/05

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