宇宙創成〈下〉

宇宙創成〈下〉

June 5, 2009

宇宙創成〈下〉

人は宇宙を知るため、数限りない挑戦を続けてきた。太陽中心モデルを作り上げたアリスタルコスから、相対性理論のアインシュタイン、宇宙誕生の瞬間を発見したNASAに到るまで。決闘で鼻を失った天文学者がいた。世界トップクラスの天体画像分析チームを率いた「メイド」がいた。数々のドラマの果てに、ついに科学者たちは…。人類の叡智の到達点を、感動的に描く圧巻の書。


この本は、古代の天動説から現代のビッグバン宇宙論に至るまでの科学の道のりを科学者達のドラマと共に描いている。

ドラマは多少駆け足の感があったので、本文を読み終えた時点では、主題はビッグバン理論を知る事だと考えていた。おぼろげにしか知らないビッグバンについて、分かりやすく丁寧に解説してあるので、宇宙論の本など初めて読む自分には新鮮な要素がたくさんあったからだ。

しかし、文庫版の後書きで訳者は「真の主人公は『科学的方法』だったのだ。」と述べている。確かに本文中に幾度となく、理論と観測の重要性を強調しているし、エピローグでは、ビッグバン理論へのパラダイムシフトは科学の進歩の典型だとしている。つまり、「『科学的方法』を伝えるための方法」としてビッグバンを活用したのだろう。

本書では1990年代までを扱っているので、「工房にある」理論にはあまり触れていない。最新の観測に基づいた現在の宇宙論がどうなっているのか興味が沸いてきた。ただ残念ながらそのままで理解できないので、どなたか猿でも分かるレベルで租借していただけないだろうか。


著者: サイモン シン
文庫: 374ページ
出版社: 新潮社 (2009/1/28)
発売日: 2009/1/28
宇宙創成〈上〉

宇宙創成〈上〉

June 2, 2009


宇宙創成〈上〉

宇宙はいつ、どのように始まったのか?人類永遠の謎とも言えるその問いには現在、ある解答が与えられている。ビッグバン・モデル。もはや「旧聞」の感さえあるこの概念には、実は古代から20世紀末の大発見へと到る意外なエピソードと人間ドラマが満ちていた—。有名無名の天才たちの挑戦と挫折、人類の夢と苦闘を描き出す傑作科学ノンフィクション。


かつてSF作家アーサー・C・クラークは「高度に発達した科学は魔法と区別がつかない」との言葉を残したそうだが、本書は今日の科学が決して魔法ではなく、先人の知性と情熱によって積み上げられた結果だと改めて気づかせてくれる。

科学者のドラマを絡めて科学の発展を描く手法は、福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」と似ているが、こちらの方は宇宙論にたどり着くのを目的としているため、科学の進歩を追う事を重視している。
なお発刊年は宇宙創成(ビッグバン宇宙論)が先。

上巻では、宇宙定数による永遠不変の宇宙と、ビッグバンモデルのどちらが正しいのか!?という所で終わっている。科学本ではあるが、すばらしいエンターテインメントだ。

著者:サイモン シン
文庫: 387ページ
出版社: 新潮社 (2009/1/28)
発売日: 2009/1/28